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WYLER ワイラーの歴史

創業:1896年

~独自の耐震装置「インカフレックステンプ」~

 1896年にアルフレッド・ワイラーによって設立されたブランドで、あまり日本での知名度は高くない。ただここのメーカーはとても独創的な耐震装置を備えている。それが「ワイラーインカフレックステンプ」で、40年代にはすでに特許取得している。インカブロックを代表とする普通の耐震装置は軸受での耐衝撃構造だが、ワイラーはちがう。一般のテンワ(テンプの外周に配されたリング状のパーツ)は天真とを2本のまっすぐなアーム(アミダ)でつなぐ。しかしワイラーのテンプは特殊で、チラネジ付きのテンワと天真とをつなぐ2本のアームが、なんと渦巻き状になっているのだ。ここを渦巻き状にすることで衝撃を減衰させるというユニークな機構なのである。
 当時の広告を見ると、この機構を永久保証している。日本でも正規代理店が輸入していたのだ。同じく古いセイコーの資料にも「ワイラーテンプ形式」として紹介されており、時計技術者の間で認知されていたことは確かなようだ。この機構が搭載されているモデルは、スモールセコンドの3針タイプだけでなく、トリプルカレンダー・クロノグラフにも採用されている。バルジューCal.72Cに独自の耐震装置を組み込んでいるあたりは凄い執念である。まだ存続するメーカーのようでバーゼル・フェアにも出展しているようである。まるで蚊取り線香のような渦巻きテンプが文字盤に描かれ、ブランドのトレードマークになっている。

「ウオッチ・ア・ゴーゴー No.38」より引用