TAKANO タカノの歴史

創業:1957年

~幻の「ダカノーシャト」のシンプルさ~

 アンティークの機械式国産腕時計コレクターにとって、「タカノ」は馴染みのあるブランドだろう。むしろ垂泄の的かもしれない。というのも「タカノ」ブランドの腕時計が製造された期間はわずか4年11ヶ月間にすぎないからだ。1957(昭和32)年に第1号の「2000シリーズ」を発表し、'60(昭和35)年に世界一の薄型手巻き式腕時計「タカノーシャトー」を発表する。当時としては世界一の薄さ(ムーブ厚3.5mm)を誇り、話題を呼んだ。裏蓋には名古屋名物の金のシャチホコが刻印されているのも面白い。
 このタカノを製造していたのが高野精密工業で、56(昭和31)年末頃から腕時計製造へ乗り出し、「タカノーシャトー」などの腕時計を手掛けるが、'59(昭和34)年9月の伊勢湾台風で本社工場が壊滅的な被害を受けてしまう。その被害から立ち直れないまま'62(昭和37)年に現在のリコーの傘下になってしまった。社名がリコーになった後もハミルトン社と合弁会社を設立するなど、時計製造は続いたが、再び「タカノ」ブランドが作られることはなかった。「タカノ」のモデルは時代背景もあるが、すべてシンプルで簡素なデザインのものが多い。その他「プライム」や「スーペリオ」といったモデルも発売されていた。
 じつは'98年11月にリコー・エレメックスから「タカノーシャトー1960」限定モデルが復刻発売されたことがあった。いまでも熱心な「タカノ」ファンはいるのだ。

「ウオッチ・ア・ゴーゴー No.38」より引用


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