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LEMANIA レマニアの歴史

創業:1884年

~オメガの影に隠れ続けたエボーシュの血~

 レマニアには2つのイメージがある。ひとつは1940年から20年間にわたってイギリス軍に10万本のミリタリークロノグラフを納入したという実績である。もうひとつはエボーシュ(基礎ムーブメントメーカー)としての顔だ。
 レマニアは1884年に時計師アルフレッド・ルグランによってジュウ渓谷のロリエントで創設された。じつはそれ以前から小規模な工房として時計の製作に携わってきた歴史がある。こうしてエボーシュメーカーとして出発したレマニアであるが、1940年頃になると自らの名を冠したミリタリーウォッチを製作し始める。とくに有名なのが手巻き式の「ワンプッシュ・クロノグラフ」でスウェーデン軍とイギリス軍に納入している。これは2時位置にプッシュボタンを備え、文字盤の3時位置に30分積算計、9時位置に60秒のスモールセコンドを配置した2つ目クロノである。文字盤の色には一般的に黒が多いが、潜水艦乗員用には白文字盤も存在した。その後も自社のブランドのミリタリークロノグラフを作り続けた。
 エボーシュメーカーとしてのレマニアを見てみると、'32年にオメガを中心とするSSIHグループに参加したことで、オメガ及びティソのムーブメントの供給元となった。スピードマスターのムーブメントとして名高いCal.321とCal.861は同社によるものである。その後'81年にSSIHを脱退しヌーベル・レマニア社(レマニア新社)として再出発する。'92年にはブレゲグループの一員となり、老舗ブレゲのムーブメント製造部門を担うことになる。さらに'99年にはそのブレゲがスウォッチグループに吸収されてしまい、再びオメガと同グループになってしまった。歴史のめぐりあわせといったところか。
 話を自社ブランドのレマニアに戻すと、'80年代に入ってレマニアブランドの完成品をほとんど作らなくなってしまった。それでも'90年代まではヨットレース用の「エルブストローク」やダイバーズウォッチなどを製造していたが、当時のミリタリーウォッチを彷彿させるものではなかった。ブレゲの「タイプXXトランスアトランティック」のCal.5829がレマニアベースというのが、オールドレマニアファンの唯一の救いかもしれない。いずれにせよレマニアという名前は表舞台から降りて、縁の下の力持ち的存在になってしまった。いつか手巻き式「ワンプシュ・クロノグラフ」を手にしてみたいものだ。

 「ウオッチ・ア・ゴーゴー No.38」より引用