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LECOULTRE ルクルトの歴史

創業:1930年

~スイス製と同じ高精度を誇ったルクルト~
 
 1833年にスイスのル・サンティエで創業したジャガー・ルクルト社が、1930年代後半から'60年代にかけて、より大きなマーケットを狙ってアメリカに送り込んだブランドが、ルクルトである。ルクルトとジャガー・ルクルトのムーブメントの精度は同程度で非常に高いものだった。ただしまったく同じムーブメントでも管理方法の違いからかキャリバーナンバーが異なり、仕上げ方法にも違いが見られた。ルクルトの場合はなぜかロジウムメッキが多かったようだ。これなどは、優劣をつけるというものではなく、むしろ個性と考えたい。
 ジャガー・ルクルト社にしてみるとアメリカでもまったく同じ製品を売りたかったに違いない。というのは販売していたモデルがあまりにもスイスで生産されるものと同じだからだ。たとえば、「メモマチック」(ルクルトはリストアラーム表記が多い)「フューチャーマチック」、「パワーマチック」(インジケーター)など、当時の顔ともいえる代表的なモデルは、ほぼ外見そのままで販売された。普通ならばアメリカ市場向けに、フラッグシップモデルを新たにデザインしようとするところだが、そうしないところが、いかにもジャガー・ルクルトらしい。
唯一の違いは高い関税率をクリアするために、ケースをアメリカ国内で生産した点だろう。税金のかからないステンレス・ケースはスイスで製造したが、金張り(ゴールドフィルド)や金無垢、18K、14K、10Kなどはアメリカ国内で作っていた。つまり金への関税が非常に高かったためムーブメントやダイアルなどはスイスで製造し、半製品(未完成品)としてアメリカへ送り、国内で組み立てることで税率を抑えたのである。
 そのためルクルトの裏蓋内側には”CASED AND TIME IN USA”の刻印が入る。TIMEとは調整という意味だ。製造工程の違いから、ルクルトのケースは素材が若干薄かった。
ムーブメントの質には堅固なジャガー・ルクルト社であるが、ルクルトのデザインに関してはある程度の柔軟さを見せた。とくにラグの形状がアメリカ人好みのものが多く、なかにはアールデコ調のデコラティブなものもあった。前述の代表モデルは比較的おとなしいデザインを守っていた。現在ではルクルトの製品はアンティークでしか買えない。

「ウオッチ・ア・ゴーゴー No.38」より引用