image1

INGERSOLL インガソルの歴史

創業:1881年

~キャラクターズウォッチの先駆けブランド~

 インガソルの歴史は買収劇が繰り返されややこしいものになっている。その歴史を語るには、まずウォーターベリー・クロック・カンパニーの話をしなくてはならない。このウォーターベリーは1857年にコネティカット州ウォーターベリーに設立された会社で、置き時計を製作していた。'80年になると懐中時計を発売するウォーターベリー・ウォッチ・カンパニー(後にニューイングランド・ウオッチ・カンパニー)を設立する。
 ここでインガソルの話に戻ろう。インガソル社は1881年にロバートとチャールズの兄弟によってメールオーダー会社として出発している。時計メーカーではないのだ。その後、'92年にインガソル社が1000個の廉価な懐中時計をウォーターベリー・クロック・カンパニーに発注する。この時計が爆発的にヒットを飛ばす。'94年には50万個発注した記録が残っている。'96年には1ドル時計「ヤンキー」を発売し、庶民の間で人気を博し、'98年に100万個を売り上げた。これが1ドルで買える伝説の”ダラー・ウオッチ”である。その後ウォーターベリー・クロック・カン八二ーとの契約が切れ、この機会に自分たちで時計の製造を始める。1914年に当時倒産していたニューイングランド・ウォッチ・カン八二-を買い取ったが、第1次世界大戦のため優秀な技術者が集まらず経営危機に陥ってしまう。
 '22年に皮肉にもウォーターベリー・クロック・カンパニーに買収され、インガソルの商品名と会社の資産はすべて奪われてしまう。社名はかろうじて、インガソル・ウォーターベリー・カンパニーとなった。'30年にウォルト・ディズニー社と提携し、'33年にワン・ダラーウオッチをベースにしたミッキーマウスの懐中時計を生産する。1個1.33ドルで売り出され、ニューヨークのデパートで発売当日に1万1000個が完売した。文字盤に、”MICKEY MOUSE INGERSOLL”の文字を見ることができる。その後会社はUSタイム、タイメックスに受け継がれていく。
 あんなに可愛いミッキーマウスやドナルドタッグの時計の裏に、これほど凄まじい買収劇が繰り広げられていたとは!
 現在キャラクターウオッチに廉価時計のイメージがあるのは70年前のインガソルからなのである。

「ウオッチ・ア・ゴーゴー No.38」より引用