1966年から78年まで、カナダ軍は数回に渡り、ブライトリングからワンプッシュクロノグラフを調達しています。書籍によると、製造数は1100個から1200個で、1990年代初期に、ラジウム夜光を使用した個体を700個処分しているようです。これが事実だとすれば、残っている個体は400個から500個ということになり、大変な稀少モデルと言えます。市場で見かけることはほとんどなく、当店でも取り扱うのは2回目で入手はかなり難しいです。裏蓋に刻印されている「D.N.D.」は「国防総省(The Department of National Defense)」を意味しています。この刻印があるのはブライトリングのみで、他のオメガ、ロダニア、キャンディーノ、ウィットナーなどは「RCAF(Royal Canadian Air Force)」または「RCN(Royal Canadian Navy)」となります。「6645/21/802/1267」はNATOストックナンバーで、「21」はカナダを表しています。刻印はそのパターンから5種類(5世代)存在し、製造ロットで変わってきます。今回の個体は第二世代のものとなります。ムーブメントはバルジュー23若しくはバルジュー236を装備しています。キャリバー236は23をベースに6振動(21,600振動/時)と高振動化したもので、より高い精度を出せるムーブメントとなっています。また、カナダ軍の仕様でもあるハック(秒針規制)機能が付いているレアキャリバーです。ハック機能があることで、ワンプッシュながら、2プッシュと同じ使い方が可能になります。