UNIVERSAL GENEVE ユニバーサル・ジュネーブの歴史

創業:1894年

~複雑時計から超薄型化へ挑戦し続けたメー力ー~

 1894年にスイスのル・ロックルで設立。ヌーマ=エミーユ・デコームとユリス=ジョルジュ・ペレの2人が、デコーム&ペレ社を設立して”Universal watch”の名称でポケットウォッチを手掛ける。1919年になると本社をジュネーブに移転し、'33年には”ユニバーサル・ウォッチ・ジュネーブ”に社名変更する。そして1936年についに「コンパックス」を発表し、このモデルをベースにした一連の「コンパックス」シリーズを先駆けた。
 '44年に登場する「トリーコンパックス」は同社の技術の粋を集めた傑作モデルで、この時期にプランドの頂点を極めたのである。この通称”トリコン”は、トリプルカレンダー(月、日付、曜日表示)とムーンフェイズ、クロノグラフ機構をあわせもった複雑時計で、'60年代まで製造が続けられた。「コンパックス」シリーズは'80年代まで生産されている。現在このような複雑時計を作ると軽く100万円は超えてしまうが、当時ユニバーサルはリーズナブルな価格で販売していたようだ。まさに庶民のための複雑時計だった。余談だがゼニスやジラール・ペルゴ、ジャカー・ルクルトにも自社製クロノグラフ・ムープメントを供給していた時期もあり。当時の技術力の高さを物語っている。
 もうひとつの革新的な開発が,'55年に特許を取得した「マイクローター(MICROTOR)」機構である。この機構はローターによって厚みが増す自動巻きムーブメントを、いかに薄くできるかという挑戦であった。ローターを機械の中心から外し、小型化して機械のなかに埋め込むという方法を実現した。課題となる巻き上げ効率を高めるために、ヘビーローター仕様の両方向巻き上げ方式を採用したのである。この機構をもつCal.215(厚さ4.1mm)は「ポールル-ター」に搭載され、ケース厚わずか8mmという超薄型腕時計を実現する。その後、当時の最薄記録2.5mmのCal.2-66を完成させ、「ホワイトシャドー」や「ギルドシャドー」に搭載するが、超薄型化の時代も過ぎ去り、シャドーシリーズも'70年代には消えてしまう。
 その後、ユニバーサルに革新的なモデルは登場しなかったが、それでも'94年には1950年代のコンパックスの復刻版「ユニバーサル・コンパックス」を世界限定500本で発売している。'96年にはアントワーヌ・プレジウソの協力のもと、同社初のトゥールビヨン「マスタートヴトルヒヨン」(Cal.UG80)を完成させている。現在では日本に正規代理店もなく、新作を見る機会もない。

「ウオッチ・ア・ゴーゴー No.38」より引用


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