ETERNA エテルナの歴史

創業:1856年

~ボールベアリングをムーブメントに搭載したエテルナの革新~

 スイス・ジュラ地方のグレンヘンは、冬の間厳しい雪と氷に閉ざされてしまう農耕中心の貧しい村であった。一方隣村のビエンヌでは、当時すでに置時計や懐中時計の生産が行われ、安定した収入をもたらす主産業としてさらに発展する兆しを見せていた。ともに1800年代初頭のことである。
 グレンヘンの村民の中にもビエンヌの時計会社に手伝いとしものがて出向き、時計作りを取得する多くあった。このことから天候や季節に左右されない時計産業を、グレンヘンに根付かせようとする課題が、村の自治役員の間でも検討されていた。
 1851年に、7人のマイスターを招いて時計職人養成機関が設立され、40人の若者が生徒になった。時計による村おこしが開始されたのである。こうして時計産業に傾けた努力は、1856年に、ジラール&シルド社というエボーシュムーブメント(アレンジのできる基礎的なムーブメント)を主に生産する会社の設立で初期の結実を見る。創立者は自治役員のヨセフ・ジラールとウルス・シルドだった。このムーブメントメーカーがエテルナの前身で、これを基にして徐々に現在の総合時計メーカーとしての姿へと発展する。
 1900年代に入ると腕時計の生産を始める。世界初のアラーム付き腕時計、女性用小型バケットウォッチなどが発表された。技術の分野では、伝統的手工業からの脱皮を図るかのように製造機械を電化している。また、ムーブメントは修理の際に、部品交換がしやすい構造へと根本的な変更がされた。これらによる品質の向上が評価され、パリの博覧会で金賞受賞、各国への輸出も飛躍的な伸びを記録する。ところで現在スイスで生産される時計ムーブメント全体の80%をシェアするETA社が、1932年にエテルナのエボーシュムーブメントの製作部門として設立されたということをご存知だろうか。同社の成功は、ムーブメントメーカーとして出発したエテルナの、機械に対する情熱を受け継いだ結果に他ならない。今日でもエテルナの時計には、ETAのムーブメントが多く搭載されている。
エテルナの歴史の中で最も重要な出来事は、1948年のエテルナ・マチックの開発である。5個の小さなボール・ペアリングが、ワインディング・ローターをより自由に回転させるという特性を持つ自動巻き機構で、ロールをボール・ベアリングの組み立ての際にはめ込むという今では当たり前の作業を、エテルナが初めて制度化したものである。世界のある地域では、エテルナの名前よりもエテルナ・マチックのほうが有名であったりする。それほどに従来の技術を駆遂するような画期的な機械だった。エテルナの文字盤の5つのドットマークで示されるブランドマークは、このボール・ベアリングを表すものである。現在の機械には7個のボール・ベアリングが用いられているが、5つの点で表現されたマークは変更されていない。
 エテルナの技術革新史は、1970年代以降のクオーツと電子時計の分野でも遺憾なく発揮される。チューニング・フォークつきのエテルナ・ソニック、初のクオーツアナログ式腕時計など多くの名品を発表。1979年にはコンマ98mmという超薄型のクオーツ腕時計リネアを、ETAとの共同開発で完成させている。またスタンダードと言っても過言ではないコンチキは、モデルチェンジを重ねながらも息の長い人気シリーズだ。
 今日自らムーブメント製作を行うことはないが、工場に届くムーブメントは品質を保つため十分な検査がされ、機械はかなりの率でムーブメントメーカーへ返品されている。

「世界の腕時計 №16」より引用


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